法事って何?
法事の意義
皆様の親しいお身内の方が亡くなられた時、1年後に1周忌、2年後に3回忌などの御法事を主催されたり、参加されたことはありますか?多くの方はご経験されている事と思います。では何故、このように法事を営むのでしょうか?何故お経を読むのでしょうか?ここでは年忌法要(以下・法事)の意義を、宗教的意義と生活的意義の2つに分けて考えていきたいと思います。
法事は亡くなられた方の供養をするために行われる仏事で、一般的には丸1年の意味で1周忌を、丸2年を3回目の命日(亡くなられた日を1回目の命日と考える)と捉えて3回忌を行います。その後は主に3と7の回忌ごとに法事を営みます(地域や宗派によって違いはあります)。これらの法事の「宗教的意義」を要約すると、
1 亡き親やご先祖様を供養し、善い功徳を諸霊に振り向ける。
2 仏道修行を行って自ら功徳を得る。
の2点が挙げられます。年忌ごとに法事を営み、読経や唱題をする事は、亡きご先祖様に捧げる行為であると同時に、生きている私達自身の為でもあるのです。
また法事には宗教的意義とは別に、私たちの生活上大切な役割があります。これを法事の「生活的意義」として捉えてみましょう。
これからの日本は、人口の減少や超高齢化によって、それぞれが生活する地域社会を維持出来なくなってくると指摘されています。これらの問題に対処する方法として現在考えられているのが、各地域の方々が官民力を合わせ、また住民同士がお互いに協力しながら各住民の生活を支える、相互互助的なスタイルであると言われています。これは地域社会だけに限らず、家族関係の中でも同じことが言えると考えます。家族や親戚同士の繋がりが薄れていく中で、孤独死や孤立した生活を余儀なくされているように感じます。お互いを支え合う為には、しっかりした繋がりのもとに作り上げられる信頼関係が必要不可欠なのです。誰しも良く知らない人といきなり信頼関係を築くことは出来ません。
家族や親戚同士の人間関係を大切にするためにも、現代においてご先祖様の法事を行う意義が確かにあると考えます。遠く離れて暮らす家族や親戚が、ご先祖様の法事をきっかけとして集まり、顔を合わせることによって、様々な話が出来、その積み重ねで人間同士の繋がりが出来上がっていくのではないでしょうか。
結婚式などの慶事で集まるより、遥かに多くの機会がある法事が、家族や親戚との繋がりを深める事に果たす役割は少なくないと考えます。そして亡き命と向き合うことで命の尊さを知り、改めて生きている命に感謝することが出来るのではないでしょうか。これからも私達の生活が安穏に続くために、法事を大切にしていきたいですね。